グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)測定キット
Colorimetric assay kit for glutathione peroxidase activity |
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(本製品は研究用試薬です。) |
【H2O2を還元する重要な抗酸化酵素】 |
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グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase: GPx)は活性中心にセレンを有する酵素で、グルタチオン(GSH)の存在下で
過酸化水素(H2O2)を水に還元するほか、過酸化脂質(LOOH)を還元する機能を有し、
また近年、高齢者(女性)において加齢に伴い全血中のGPx活性が低下することが報告されています。
スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼとともに生体内において重要な抗酸化作用を担っていると考えられています。
哺乳類のグルタチオンペルオキシダーゼにはGPx-1, GPx-2, GPx-3, GPx-4の4種類が知られており、中でも細胞内GPx(GPx-1: cGPx)が
よく研究されています。
本キットはPagliaら1)により報告された測定法を応用したものです(左下図)。GPxがH2O2を
H2Oに還元する際に、還元型グルタチオン(GSH)が酸化型グルタチオン(GSSG)に酸化されます。GSSGはグルタチオン還元酵素
(GR)の作用で再びGSHに還元されます。このとき340nmに吸収を持つβ-nicotinamide adenine dinucleotide phosphate(NADPH)が酸化され
NADP+に変換されます。340nmにおける吸光度の低下を測定することで、GPxの酵素活性を検出することができます。
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● 測定対象: |
全血、血漿、赤血球、組織ホモジネート、培養細胞中のグルタチオンペルオキシダーゼ活性 |
● 測定レンジ: |
5~65 mU/mL |
● 所要時間: |
約15分 |
● サンプル所要量: |
50μL |
● テスト数: |
96wells * 2枚(N=2のとき94テスト) |
● 必要な器具: |
可変式マイクロピペット(20~1000μL)、マルチチャネルピペット、
340nmの吸光度変化を測定できるマイクロプレートリーダー又は分光光度計(出来れば温度制御可能なもの)
グルタチオンペルオキシダーゼ標品につきましては、必要に応じて市販品をご利用ください。
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● 保存条件: |
冷蔵(2~10℃ ・凍結不可) |
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品名 |
商品コード |
測定波長 |
所要時間 |
価格(税込) |
グルタチオンペルオキシダーゼ測定キット |
KGX-005W |
340nm kinetics |
約15分 |
110,000円 |
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【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。 |
日研ザイル株式会社 日本老化制御研究所 〒437-0122 静岡県袋井市春岡710-1 TEL 0538-49-0125 FAX 0538-49-1267
【サンプルの前処理】 |
・血液 |
採血時には抗凝固剤としてEDTA、ヘパリン、クエン酸を利用可能です。採血後は冷蔵(2~8℃)にて保存し、
凍結しないようご注意ください。全血1容量に対し蒸留水9容量を混合することで溶血させ、さらにアッセイバッファーで10倍希釈します。
アッセイバッファーに混合後は直ちに測定してください。この測定では、主にグルタチオンペルオキシダーゼ-1(cGPx)を検出します。
血漿中にはグルタチオンペルオキシダーゼ-3が存在しますが、cGPxレベルに比べ濃度が低いため、測定には殆ど影響ないと考えられます。
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・血漿 |
本キットでは血漿中のグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx-3)も反応します。血漿中のGPx-3濃度は低いこと、
微量の溶血でも赤血球由来GPx-1の影響が出ることにご注意ください。
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・組織 |
組織中に血液が含まれていると、赤血球由来GPx-1の影響が出ることがあります。可能であれば、組織を凍結保存または
ホモジネートする前に、適切なバッファー(例:ヘパリン含有 生理的リン酸緩衝液)で灌流することにより血液を取り除いておくことを
お奨めします。組織ホモジネートの調製は20~40%(w/v)とし、5mM EDTA, 1mM DTT又は2-MEを含むpH7.5のトリスバッファーにて行います。
組織ホモジネートを遠心し上清を回収、直ちに氷冷します。ホモジネート遠心上清をアッセイバッファーにて10倍以上希釈してから測定します。
測定結果の補正には、出発材料となる組織の湿重量や、ホモジネート中の蛋白濃度が用いられます。
組織採取からホモジネート、測定までを当日中に実施することをお奨めします。当日中に測定できない場合は、
組織ブロックまたは組織ホモジネートの状態で-70℃にて凍結保存してください。
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・培養細胞 |
106 cells/mLの細胞懸濁液を用意します。ソニケーション又はホモジナイズにより細胞を可溶化し、
遠心上清を回収、直ちに氷冷します。測定結果の補正には、出発材料となる組織の湿重量や、ホモジネート中の蛋白濃度が用いられます。
培養細胞中のグルタチオンペルオキシダーゼの量は、実験系により大きく異なります。
必ず予備実験を行い、測定レンジに収まることを確認してから実施することをお奨めします。
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・赤血球 |
採血時には抗凝固剤としてEDTA、ヘパリン、クエン酸を利用可能です。遠心により赤血球を回収し、氷冷した
生理食塩水(0.15M NaCl)にて2~3回洗浄します。細胞ペレットの4倍容量の氷冷水にて可溶化し、直ちに氷冷します。
測定時におけるサンプル中のヘモグロビン濃度は0.2~0.5 mg/mLとなるようにアッセイバッファーにて希釈してください
(ヘモグロビン値16.4g/dLの血液を使用した場合、可溶化液中のヘモグロビン濃度は約65 mg/mLとなります。アッセイバッファーにて
30倍希釈すると約0.2 mg/mLとなります)。
測定はサンプル調製後2~3時間以内に実施してください。サンプルは-70℃にて保存可能です。
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【測定手順】 |
1. |
試薬を室温に戻します。 |
2. |
希釈済みのサンプルまたはアッセイバッファー(ブランク)をマイクロプレートに50μL/well分注します。 |
3. |
NADPH試薬を全てのウェルに50μL添加します。 |
4. |
希釈済みのH2O2試薬を全てのウェルに50μL/well添加、混合します。 |
5. |
1分待ってから340nmにおける吸光度を30秒間隔にて5分間計測します。 |
6. |
サンプル及びブランクについて、吸光度変化率を算出します。
【サンプルの吸光度変化率】mRates = -1000 x Δ340nm/min
【ブランクの吸光度変化率】mRateb = -1000 x Δ340nm/min
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7. |
グルタチオンペルオキシダーゼ活性(mU/mL)を算出します。
※ VRxm = 反応液の容積。通常は150μLです。
※ Vs = サンプルの容積。通常は50μLです。
※ 定数(6.22):光路長1cm、濃度1mmol/LのときのNADPHの吸光度。 |
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【キットの構成】 |
1. |
NADPH試薬(NADPH + GSH) |
2本。NADPH溶解液を全量添加して溶解します。溶解後は冷蔵にて3日間保存可能。 |
2. |
NADPH溶解液 |
6mL * 2本。NADPH試薬の溶解に使用します。 |
3. |
アッセイバッファー |
125mL * 1本。そのまま使用します。 |
4. |
H2O2試薬 |
1本。アッセイバッファーにて1:100希釈、さらに3:100希釈(10403倍希釈)して使用します。 |
5. |
マイクロプレート |
96 wells * 2枚 |
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【参考文献】 |
1) |
Studies on the quantitative and qualitative characterization of erythrocyte glutathione peroxidase.
J Lab Clin Med.70(1),p158-169(1967), Paglia DE, Valentine WN.
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2) |
Type II skeletal myofibers possess unique properties that potentiate mitochondrial H2O2 generation.
Am J Physiol Cell Physiol 290,C844-851(2006), Anderson, EJ and Neufer, PD
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【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。 |