Rev.131017
抗酸化/酵素測定キット
Biomarkers for antioxidants and antioxidative enzymes. 日本老化制御研究所"
グルタチオン レダクターゼ(GR)
測定キット

Colorimetric assay kit for glutathione reductase activity
(本製品は研究用試薬です。)
【還元型グルタチオンを維持する重要な抗酸化酵素】

グルタチオンは細胞内における主要な抗酸化物質であり、その殆どが還元型で存在しています。 グルタチオンレダクターゼ(glutathione reductase: GR)はグルタチオンを酸化型から還元型に変換する作用を持ち 生体内における抗酸化防御に重要な役割を果たしていると考えられています。 赤血球GRの欠損症が報告されており、溶血性貧血、悪性貧血、血小板減少症との関連が指摘されています。 また、糖尿病、痛風等においてGR活性が高値を示すほか、悪性腫瘍において血漿GR活性が高値を示すことが報告されてます。 栄養素との関連性においては、GRの活性には補酵素としてフラビンモノヌクレオチド(FAD)が必要で、一日5mgのリボフラビン摂取により 赤血球中のGR活性が上昇すること、摂取中断によりGR活性が低下することが観察されています。
本製品は組織ホモジネート、細胞懸濁液中のグルタチオンペルオキシダーゼの活性を測定するキットです。サンプル(GR)に対し NADPHおよびGSSGを添加し、NADPH⇒NADP+に伴う340nmにおける吸光度変化からGR活性を算出します。
【製品仕様】
● 測定対象: 全血、赤血球、組織ホモジネート、培養細胞、血漿/血清中のグルタチオンレダクターゼ活性
● 測定レンジ: 1.5~20 mU/mL
● 所要時間: 約15分
● サンプル所要量: 150μL
● テスト数: 96wells * 2枚(N=2のとき94テスト)
● 必要な器具: 可変式マイクロピペット(20~1000μL)、マルチチャネルピペット、
340nmの吸光度変化を測定できるマイクロプレートリーダー又は分光光度計(温度制御できるものが望ましい)。
● 保存条件: 冷蔵(2~10℃ ・凍結不可)
品名 商品コード 測定波長 所要時間 価格(税込)
グルタチオンレダクターゼ(GR)測定キット KGR-015W 340nm kinetics 約15分 110,000円
【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。

日研ザイル株式会社 日本老化制御研究所 〒437-0122 静岡県袋井市春岡710-1 TEL 0538-49-0125 FAX 0538-49-1267

 
 
【キットの構成】
1. アッセイバッファー 125 mL。そのまま使用します。
2. GRキャリブレーター 1mL(1~1.5units/mL)。アッセイバッファーにて希釈します(例:0/6/15/30 mU/mL)。
3. GSSG試薬 11 mL。そのまま使用します。
4. NADPH試薬 5 mg * 2本。NADPH試薬1本をNADPH溶解液1本全量添加して溶解します。
5. NADPH溶解液 6 mL * 2本。
6. マイクロプレート 96穴 * 2枚
【サンプルの前処理】
・全血 全血を、氷冷した蒸留水にて5倍希釈し(例:全血50μL+蒸留水200μL)、氷上にて5分間静置して溶血させます。 サンプルは測定直前まで氷冷しておきます。当日測定しない場合には-30℃以下にて凍結保存します。 測定直前に遠心して上清を回収、アッセイバッファーにてヘモグロビン濃度が5mg/mLとなるように希釈します。
・赤血球 全血を、氷冷した生理食塩水(0.15M NaCl)にて2~3回洗浄して、遠心により赤血球ペレットを得ます。 赤血球に対し2~4倍容量の、氷冷した蒸留水を加え、氷上にて5分間静置して完全に溶血させます。 サンプルは測定直前まで氷冷しておきます。当日測定しない場合には-30℃以下にて凍結保存します。 測定直前に遠心して上清を回収、アッセイバッファーにてヘモグロビン濃度が5mg/mLとなるように希釈します。
※ヘモグロビンは340nmにおける吸収を示すため、分光光度計で測定する場合には、ヘモグロビン濃度が1mg/mLを超えないよう、 ご注意ください。
・組織 灌流により組織中より赤血球を取り除いておきます。組織1容量に対し、9容量のバッファー (1~2mM EDTAを含むPBS pH7.0~7.6)を添加してホモジナイズします。不溶物を遠心により除去し、測定まで氷冷保存します。 当日中に測定しない場合には-30℃以下にて凍結保存します。測定直前にアッセイバッファーにて1:40希釈(41倍希釈)します。

組織によりGR活性は大きく異なります。サンプルに合わせて希釈率を調整してください。例えばマウス組織中のGR活性は 肝臓/腎臓では高レベル、赤血球/心臓/肺/水晶体では中レベル、骨格筋では低レベル、血漿では検出されないことが知られています。
・血漿 健常者血漿/血清中にはGR活性は検出されませんが、ガン患者等では血漿/血清中にGR活性が 検出されることがあります。僅かな溶血でも赤血球GRが混入する可能性がありますので、血漿/血清中のGR測定をする際には 溶血が起きないようにご注意ください。
【測定手順】
1. サンプルおよびキャリブレーター試薬を調製します。
2. サンプル/キャリブレーターを150μL/well分注します。
3. 各ウェルにGSSG試薬を50μL添加、混合し1分間静置します。
4. 各ウェルにNADPH試薬を50μL添加、混合し1分間静置します。
5. 340nmにおける吸光度を3分間計測します(30秒間隔以下)。
6. GR活性を算出します。
  ※GR活性は温度の影響を受けやすいので、測定時の気温を記録しておくことをお奨めします。
 
 
 
【データ解析方法】
1. 吸光度測定値の経時変化を図1のようにプロットし、1分間当たりの吸光度変化(-mRate: ΔA340nm/min * 1000)を算出します。 図1は、GRキャリブレーターを0、6、15、30 mU/mLに調製したときの測定例です(反応液中の終濃度はそれぞれ0、3.6、9、18 mU/mL)。 得られたキャリブレーターの濃度、-mRateから図2のように検量線(-mRate = SLOPE * CONC + INTERCEPT)を作成します。 -mRateの算出には、吸光度に(-1000)を掛けていることにご注意ください。
2. 下記の計算式を用いてサンプルの-mRate測定値からGR活性を算出します。

Vtは反応液の液量(250μL)、Vsはサンプルの液量(150μL)、 DILUTIONはサンプル希釈率です。反応液上記で算出した検量線のSLOPE(傾き)= 3.725、INPERCEPT(切片)= 0.5486であるとき、 60倍希釈したサンプルの-mRate測定値が21.33である場合、具体的な計算式は下記のようになります。
3. 赤血球可溶化液についてGR活性を測定した場合では、ヘモグロビン値で補正することができます。 例えば、調製した赤血球可溶化液(希釈前)のヘモグロビン濃度が90 mg/mLの場合には、下記のように補正されます。
【参考文献】
1) On the reaction mechanism of yeast glutathione reductase.
J Biol Chem. 240(11),p4470-4480(1965), Massey V, Williams CH Jr.
2) Glutathione reductase from human erythrocytes. Catalytic properties and aggregation.
Eur J Biochem.67(1),p231-238 (1976), Worthington DJ, Rosemeyer MA.
 
 
 
 
【ご注意】本製品は研究用試薬です。研究以外の用途(臨床検査/診断/医療行為等)には使用できません。