【脳由来神経栄養因子:BDNF】
脳由来神経栄養因子(BDNF: Brain-derived neurotrophic factor)は、神経細胞の生存・成長・シナプスの機能など、神経細胞の成長、調節に必要とされる蛋白質。
BDNF受容体(TrkB)を介し、神経細胞の生存維持、神経突起の伸長促進、神経伝達物質の合成促進などの作用を示す。
神経変性疾患(アルツハイマー、筋萎縮性側索硬化症:ALS)において低値を示すほか、鬱、ストレスのマーカーとしても注目されています。
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項目名 |
検体の種類 |
動物種 |
保存 方法 |
検査 方法 |
検査 施設 |
検査費用 (税込) |
備考 |
脳由来神経栄養因子 (BDNF) |
血清/血漿 0.5mL注1) ※最少検体数:10件 |
ヒト |
凍結 |
ELISA |
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(問合せ) |
参考値:なし 単位:ng/mL |
血清/血漿 0.5mL注1),注2) ※最少検体数:10件 |
動物種 |
凍結 |
ELISA |
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(問合せ) |
参考値:なし 単位: |
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※上記検査項目につきましては予告なく改廃される場合があります。ご注文の際には、予め弊社担当者まで仕様、価格、納期をご確認ください。
注1)BDNF濃度は血清と血漿とで大きく異なります。検査をご依頼の際には、血清と血漿を明確に区別してご提出ください。検体区別が正しくないと
測定不可となる場合があります。
注2)全ての動物種に対応できるわけではありません。ご依頼前に必ずご相談ください。
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※「最少検体数」の記載のある項目について
特注検査のため、最少検体数以上にてお申込みください。 最少検体数未満でご依頼の場合には、
最少検体数分の検査費用がかかる場合があります。
最少検体数10件の場合: 1~9件の費用 = 単価 x 10件分の費用がかかります。
基準値、参考値はありません。研究用試薬を用いた分析のため、ロット差、バッチ差等が出る可能性があります。
検体の性状等により、誤差を含む可能性や、検出下限以下になる可能性もあります。
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参考データ |
検量線の形状
同時再現性
Sample |
BDNF(ng/mL) |
Mean |
S.D. |
C.V. |
血清A |
131 |
136 |
145 |
139 |
138 |
6 |
4% |
血清B |
464 |
483 |
447 |
478 |
468 |
16 |
3% |
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ヒト血清を同一プレート内で繰り返し測定したときの再現性は上記の通りです。
日差再現性
Date |
Day 1 |
Day 2 |
Day 3 |
Day 4 |
Day 5 |
Mean |
S.D. |
C.V. |
BDNF (ng/mL) |
463 |
381 |
388 |
483 |
376 |
418 |
51 |
12% |
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予め分注凍結したヒト血清を、異なる日、異なる試薬ロットで測定したときの再現性(C.V値)は12%でした。
希釈直線性
凍結融解特性
ヒト血清を繰り返し凍結融解した場合、少なくとも2回までは有意な変化はありません。
BDNF濃度分布
血清と血漿とでは濃度が大きく異なります。これは血液凝固に伴い、血小板からBDNFが放出されるためです。
血漿サンプルでも、採取状況(血小板の活性化⇒顆粒放出)により、数値が高めになる場合があります。
※弊社における試験データです。弊社のご提供する受託検査では、概ね上記のような結果が得られていますが、ご依頼頂いたすべての試験において、必ずしも同様の性能を保証するものではありません。
また、実際の測定には、施設、環境、測定者の手技等が影響を与える場合があります。弊社にて販売している試薬で同等の結果が得られることを保証するものではありません。
データ、図表等無断転載を禁じます。引用、利用される際には、必ず事前に弊社の承諾を得てください。
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技術情報 |
No. |
【タイトル】 |
【内容】 |
1 |
血清と血漿における BDNF濃度の違い: |
BDNFは血清中のほか、血小板の顆粒に多く含まれ、血小板の活性化に伴い、血清中に放出されます。
このため血清中のBDNF濃度は血漿にくらべ20倍程度の高値を示し、また、健常者において、血清と血漿中のBDNF濃度は
必ずしも相関しません。文献上も、血清で評価したもの、血漿で評価したものがありますので、試験を計画される際には、
血清を採用するか、血漿を採用するか、必ずご確認ください。
また、血清と血漿とでは、測定条件(希釈率)が異なりますので、検査をご依頼の際には、検体種別(血清/血漿)を
必ず明確に区分してご提出ください。検体種別を誤ってご提出いただいた場合、測定値が出ない場合があります。 |
2 |
血漿調製例: |
・氷冷下にて採血し、直ちに1000G、2~8℃にて15分間、低速にて遠心を行い、乏血小板血漿(Platelet Poor Plasma)を調製します。
抗凝固剤にはヘパリン、EDTA、クエン酸を使用できます。採血後30分以内の遠心を推奨します。 ↓
・調製した乏血小板血漿を10,000G、2~8℃にて10分間遠心して、血漿を回収、直ちに凍結保存します。
血小板は、細い採血針、撹拌、血管壁の損傷など、様々な要因により活性化されます。採血の際には十分ご注意ください。
【血小板活性化を最小限に抑える採血例】
・駆血は最小限にとどめる、あるいは駆血帯を使用せずに採血
・採血針は21Gより太いものを使用
・抗凝固剤には3.2~3.8%クエン酸Naを使用
参考文献: 血栓止血学会誌27(3),365-369(2016)
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3 |
検体必要量について: |
希釈測定を行いますので、実際の検体使用量は、血清の場合3μL、血漿の場合は30μLです。 |
4 |
種差について: |
ヒト、マウス、ラットにおけるBDNFのアミノ酸配列は同一とされています。
種差は少ないとされていますが、弊社で使用しているヒトBDNF ELISAキットをFCS(ウシ胎児血清)に適用したところ
BDNFは検出下限以下でした(社内データ)。 |
5 |
影響因子について: |
BMI、アルコール摂取、ストレス(スポーツ選手)、職場における適応障害、アルツハイマー等の神経変性疾患において
BDNF濃度の変動が報告されています。食事(食品因子)の影響に関する報告もありますが、論文によって異なる結果が報告されており
データの解釈には注意が必要です。 |
6 |
血清/血漿以外のサンプルについて: |
唾液、組織、血清エクソソーム中のBDNF測定につきましては、個別にご相談ください。 |
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