こちらでは酸化ストレスマーカーの技術情報、学術情報をご紹介しております。皆様のご研究に役立てて頂ければ
幸いです。 またよろしければ、学会や論文等で発表された内容をご紹介頂ければ大変ありがたく思います。
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対象となるマーカーも徐々に増やしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
弊社は本ホームページおよび製品、添付文書等を作成するにあたり細心の注意を払っておりますが、これらによる損害が万一発生した場合でも、
弊社は責を負いませんので予めご了承ください。また、製品の価格、仕様、試薬構成、測定手順等は、製造元の都合により予告無く変更される
場合があります。 |
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抗酸化能測定キット「PAO」 |
No. |
【タイトル】 |
【内容】 |
1 |
ヒト血清への適用 |
Q:血清サンプルは保存できますか?
A:冷蔵保存した血清は使用できません。必ず新鮮血清/血漿をご用意ください。-20℃以下での凍結保存が
可能です。血清サンプルの冷蔵保存はアスコルビン酸や尿酸などの抗酸化物質に影響を与える場合があります。
Q:血漿サンプルは測定できますか?
A:ヘパリン血漿または血清サンプルが測定可能です。EDTA血漿は測定できません。
ヒト血清の平均値:1069±145μmol/L reducing power |
2 |
尿サンプルの測定 |
尿サンプルを対象に抗酸化性を測定できます。 尿酸濃度が2mMを超える尿サンプルは予め蒸留水にて
4倍希釈してください。 |
3 |
食品サンプルの測定 |
・赤ワイン:蒸留水にて8倍希釈して測定してください(測定例 45,479 μmol/L)。
・日本酒:蒸留水にて原液〜8倍希釈して測定してください(測定例 18〜211 μmol/L)。
・紅茶:蒸留水にて8倍希釈して測定してください。
・コーヒー:蒸留水にて28倍希釈して測定してください。
・緑茶:蒸留水にて8倍以上に希釈して測定してください(測定例 8,728 〜60,816μmol/L)。 |
4 |
抗酸化物質の検出 |
本試薬で検出可能な抗酸化物質には少なくとも下記のものが知られています。
アスコルビン酸・トロロックス・ビタミンE・グルタチオン・アルブミン・ビリルビン・尿酸・カテキン・エピカテキン・
オリザノール・ケルセチン・プロブコール・BHA |
5 |
検量線と標準物質 |
Q:検量線がうまく引けない場合はどうすれば良いですか?
A:本試薬の標準物質には尿酸を使用しております。尿酸は水に溶けにくいので、確実に尿酸を溶解してから
ご使用ください。また、使用する蒸留水の液量はボトル毎に異なっておりますので、ラベルに記載されている液量表示を
ご確認ください。
Q:溶解した標準物質は保存できますか?
A:蒸留水で溶解した標準物質(2mM尿酸)は冷蔵で1週間、-20℃以下の凍結保存で1年間保存できます。
凍結融解の繰り返しは避けてください。
Q:尿酸濃度に2189を掛けるのは何故ですか?
A:尿酸の濃度から銅イオン還元量に換算するためです。 |
6 |
血漿サンプル以外への適用例 |
卵巣子宮内膜症性嚢胞、漿液性嚢胞腺腫、粘液性嚢胞腺腫の内容液におけるPAO測定値は1197 mmol/L、
672 mmol/L、424 mmol/Lであることが報告されています。
【出典】:S Fujii, 鉄を含む卵巣子宮内膜症性嚢胞の内容液がもたらす酸化ストレスの影響.
第31回 日本鉄バイオサイエンス学会 シンポジウム抄録. p9-10 (2007) |
7 |
Oxford Biomedical Research製 Total Antioxidant Power kitについて |
米国Oxford Biomedical Research社のTotal Antioxidant Power kit (TAP assay kit: code TA01)は、
当社からのライセンス許諾(米国特許 6613577号)に基づいて、米国内でOxford社により製造販売されています。
当社の「抗酸化能測定キットPAO」と測定原理、試薬性能等は同等です。 |
8 |
副波長の設定について |
副波長の設定が可能な場合は、620〜660nmの範囲で設定することをお奨めします。血清サンプル測定時の
安定性が向上する場合があります。 |
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【参考文献】 |
1) |
Oxidative stress and its association with coronary artery disease and different atherogenic risk
factors. C VASSALLE, L PETROZZI , N BOTTO, MG ANDREASSI and GC ZUCCHELLI.
Journal of Internal Medicine, Vol.256, p308-315 (2004)
CAD患者では健常者対照に比べ血清抗酸化能(PAO)が低値を示す。さらにmulti-vessel disease群では
one-vessel disease群に比べ抗酸化能が有意に低い。 |
2) |
Vitamin E-coated dialyzers reduce oxidative stress related proteins and markers in hemodialysis ?
a molecular biological approach.
LA Calo, A Naso, E Pagnin, PA Davis, M Castoro, R Corradin, P Riegler, C Cascone, W Huber and A Piccoli
Clinical Nephrology, Vol.62(5), p355-361 (2004) |
3) |
Oxidative stress-related factors in Bartter's and Gitelman9s syndrome: relevance for
angiotensin IIsignalling.
Calo LA, Pagnin E, Davis PA, Sartori M, Semplicini A.
Nephrol Dial Transplant ,Vol.18(8) p1518-25 (2003) |
4) |
Effect of epoetin on HO-1 mRNA level and plasma antioxidants in hemodialysis patients.
Calo LA, Stanic L, Davis PA, Pagnin E, Munaretto G, Fusaro M, Landini S, Semplicini A, Piccoli A.
Int. J Clin. Ther, Vol.41(5), p187-92 (2003) |
5) |
Restored Antioxidant Capacity Parallels the Immunologic and Virologic Improvement in
Children with Perinatal Human Immunodeficiency Virus Infection Receiving Highly Active Antiretroviral Therapy.
M Martino, F Chiarelli, M Moriondo, M Torello, C Azzari, and L Galli
Clinical Immunology, Vol.100(1),p82-6 (2001) |
6) |
Oxidative imbalance and cathepsin D changes as peripheral blood biomarkers of Alzheimer disease:
A pilot study
E Strafacea, P Matarresea, L Gambardella, R Vona, A Sgadari,MC Silveri, W Malorni
FEBS Letters 579, p2759-766(2005)
アルツハイマー患者では健常者対照に比べ血清抗酸化能(PAO)が低値を示します。 |
7) |
Antioxidant capacity as a reliable marker of stress in dairy calves transported by road
P Pregel, E Bollo, FT Cannizzo, B Biolatti, E Contato, and PG Biolatti
Veterinary Record 156, p53-54 (2005)
ウシへの適応例。ストレスによって血清抗酸化能(PAO)が低下します。 |
8) |
Effetcts of the daily administration of a rehydrating supplement to trotter horses.
A Falaschini, G Marangoni, S Rizzi and MF Trombetta
J Equine Sci 16(1),p1-9 (2005)
競走馬への適用例。 |
9) |
Effects of kakisu (persimmon vinegar) on plasma antioxidant power and urinary 8-isoprostane level.
[Article in Japanese]
Mure K, Takeshita T, Morioka I, Arita M
Nippon Eiseigaku Zasshi. 62(1),p32-38 (2007)
健常者81名を対象とした柿酢(柿を原料としたポリフェノールを豊富に含む食酢)のクロスオーバー摂取試験。
柿酢20mL/日の摂取により血清抗酸化能(PAO測定値)は1315.9±31.8μmol/Lから1447.5±36.3μmol/Lに有意に上昇すること、また、摂取終了後
7週間で血清抗酸化能が有意に低下することが報告されています。 |
10) |
Antioxidant effects of flavonoids used as food additives (purple corn color, enzymatically modified
isoquercitrin, and isoquercitrin) on liver carcinogenesis in a rat medium-term bioassay.
Yokohira M, Yamakawa K, Saoo K, Matsuda Y, Hosokawa K, Hashimoto N, Kuno T, Imaida K
J Food Sci. 73(7)C561-568(2008)
抗酸化性フラボノイドをラットに投与。フラボノイド投与群の血清抗酸化能(1388μmol/L)は、
対照群(883μmol/L)に比べ有意に高値を示します。 |
11) |
Contents of endometriotic cysts, especially the high concentration of free iron,
are a possible cause of carcinogenesis in the cysts through the iron-induced persistent oxidative stress.
Yamaguchi K, Mandai M, Toyokuni S, Hamanishi J, Higuchi T, Takakura K, Fujii S.
Clin Cancer Res.14(1),p32-40(2008). doi: 10.1158/1078-0432.CCR-07-1614.
子宮内膜性嚢胞におけるPAOおよび8-OHdG測定例です。サンプルを4℃にて10,000 x g、60分遠心し、
上清を回収。分画分子量10kDaの限外濾過膜を通過させてから、PAOキットに適用。 |
12) |
Proliferative diabetic retinopathy and relations among antioxidant
activity, oxidative stress, and VEGF in the vitreous body.
Hiroshi Izuta, Nozomu Matsunaga, Masamitsu Shimazawa, Tetsuya Sugiyama, Tsunehiko Ikeda, Hideaki Hara
Molecular Vision 16, p130-136 (2010)
糖尿病患者(増殖性網膜症:proliferative diabetic retinopathyと黄斑円孔:macular hole)について
血清および硝子体のトータル抗酸化能(PAO)を測定しています。増殖性網膜症患者の血清抗酸化能(PAO)1177.9±207.8μmol/Lは
黄斑円孔患者962.5±97.6μmol/Lに比べ有意に高値を示します。硝子体の抗酸化能(PAO)は増殖性網膜症505.0±145.0μmol/Lにおいて
黄斑円孔331.7±193.5μmol/Lに比べ有意に高値を示します。 |
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抗酸化能測定キット(油脂用)「PAO-SO」 |
No. |
【タイトル】 |
【内容】 |
1 |
油脂以外のサンプル |
油脂サンプルに対応するため、本製品には有機溶剤が使用されております。そのため、蛋白質や糖質を多く
含むサンプルでは 濁りが発生して、測定できない場合があります。このような場合には蛋白質等を予め取り除いておくことで
対応できる可能性 があります。 |
2 |
副波長の設定 |
副波長として620〜660nmを設定することにより、再現性が改善される場合があります。
特に植物油等の実サンプルの測定に有効です。 |
3 |
精製した抗酸化物質の測定 |
本キットはエタノールに溶解した抗酸化物質(ビタミンEやカテキン等)も検出することができます。 |
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ご質問などお気軽にどうぞ(メール) |
【参考文献】 |
1) |
Analysis of antioxidant activities in vegetable oils and fat soluble vitamins and biofactors
by the PAO-SO method.
Kazuo Sakai, Satoko Kino, Masao Takeuchi, Tairin Ochi, Giuseppe Da Cruz, Isao Tomita
D Armstrong Ed., Adv Protocol Oxidative Stress II 594, p241-250 (2010)
PAO-SO測定方法に関する文献です。ナタネ油、オリーブオイル、ごま油を対象に、総抗酸化能を測定しています。 |
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